2024年1月1日
「地域の力」回復へ
長かったトンネルを抜け多様な交流、支え合い再開
長かったトンネルを抜け、さまざまな場面で日常を取り戻した1年が過ぎた。制限されてきた交流や支え合いの再開が各地で進むとともに、多様な主体による「地域の力」を回復させる取り組みも芽生えている。高等支援学校生徒と温かい交流を続ける札幌市南区・小規模デイサービスまもりんガーデン澄川、軽度認知障害当事者が介護職として勤める帯広市・認知症デイケアじゅげむ、元気高齢者が接客する通いの場としてスタートを切った札幌市豊平区の「ふらっと・ほっとカフェ」、ボッチャを通して利用者と市民の交流が生まれた士別市・桜丘デイサービスセンターを取材した。共生型をテーマにした対談、ケアラー支援推進シンポジウムの様子も紹介する。
デイと高等支援学校交流 まもりんガーデン澄川―市立札幌みなみの杜
札幌市南区の同市社協運営、地域密着型通所介護「小規模デイサービスまもりんガーデン澄川」(定員10人)が同区の市立札幌みなみの杜高等支援学校との連携を深めている。生徒が同事業所敷地内の畑で土起こしを手伝うほか、同校実習として利用者とレクリエーションを通して交流する機会も設ける。デイ利用者の刺激になるとともに、生徒が福祉の現場を知ることで進路選択の参考にするなど、双方向の好影響が期待される。
MCI当事者が介護職勤務 帯広・大江病院重度認知症デイケアじゅげむ
帯広市内の認知症デイケアに軽度認知障害(MCI)当事者が介護職として勤務している。物腰柔らかな振る舞い、営業、接客業経験を生かした会話で日々、認知症高齢者を接遇し、時に同僚たちのサポートも受けながら自分の個性を生かした社会参加を実現している。同僚たちの認知症への意識も変化するなど好影響も生まれているという。医療法人社団博仁会大江病院の重度認知症デイケアじゅげむ(定員15人)に介護職として勤める当事者、堀田一義さんの一日は利用者へのあいさつ、お茶出しから始まる。丁寧に声を掛け、レク中も湯飲みの中を確認してお茶を足し、トイレから戻った利用者が座る時はいすを引くなど細やかな気配りも。「私も当事者の端くれ。皆さんのことを注意深く見ています」と優しいまなざしで見守る。
通い、交流から支え合いに 札幌市豊平区「ふらっと・ほっとカフェ」
札幌市豊平区の月寒地区で2023年10月から、地域住民の通いの場として「ふらっと・ほっとカフェ」が始まった。集う地域の高齢者を、元気高齢者がスタッフとして接客する。通いと生きがい、社会参加のほか、支え合い活動につながることが期待される。実際に地域課題解決に向けた関係者連携が生まれた例もあり、地域のカフェから共生の地域づくりの兆しが見え始めている。社会福祉法人ノテ福祉会のノテつしま医療研修センターの一室で月2回、同法人運営の市豊平区介護予防センター月寒と、札幌市豊平区社協が共同で運営するカフェは主催団体の思いがかみ合って実現した。
北海道ケアラー支援推進シンポ 介護者3団体代表討論
北海道は「支える人を、ひとりにしない。~多様なケアラーへの理解と支援~」を主題にした2023年度ケアラー支援推進シンポジウムを札幌市内で開いた。さまざまなケアラーを知ること、周りができることを考えるパネルディスカッションではパネリスト3人が登壇し、より包括的なサポート体制や社会的な取り組みの必要性を訴えた。
「共生型」テーマに対談 魅力、難しさ、今後の展望語る
旭川市・ひととまち工房主催の小規模多機能型居宅介護ここはなオープン記念イベントが開かれ、江別市内で「地域共生ホームてまりの華」など運営するライズリングの渡邊譲代表取締役、室蘭市で「デイサービスおたがいサロン」を運営する由希の藤田美智代代表取締役が「共生型」をテーマに対談した。道内の先駆者2人が共生型の魅力、難しさ、今後の展望を語った。
士別市・桜丘デイと市社協 ボッチャで広がる交流の輪
士別市内で社会福祉法人三愛会の運営する桜丘デイサービスセンターは、同市社協サロン活動メンバー3人をボランティア指導役に迎え、ボッチャ体験を行った。1週間にわたり、スポーツを通してデイ利用者と市民の交流の輪が広がった。
●感染症対策の実地研修 受講施設・事業所を募集 厚労省、申し込み締切2月20日
●厚労省・総合事業充実に向けた検討会中間整理
●24年度介護報酬改定概要 社保審給付費分科会審議報告から
【連載】●介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!=休
社会保険労務士事務所ロームホーム 及川進代表
●いざという時、本当に役立つBCPをつくろう!=休
奥村中小企業診断士事務所 奥村真一郎氏